ボクの名前は兎神晶。デュエルモンスターが好きな15歳だ。ある日の下校途中に突然背後から、ハンカチを当てられ、気がついた時には見知らぬ場所に一人でいた。
晶「いってて、ここはどこだよ」
覚醒した晶は周りを見回すが、周囲は土壁で囲まれた不思議な空間が広がっている。
その壁は空高くまで伸びており、到底一人で上れる高さではない。
足元を見ると、デュエルディスク、水、携帯用食料が入った鞄が置かれていた。
その鞄の中の一つになにかが書かれた紙が入っていた。
”デュエルロワイヤルの世界へようこそ!あなたはテストプレイヤーとして選出されました!あなたはここで数日間過ごすことになります。生き残ることができたらクリアです。検討を祈ります”
晶「・・・ここで数日間過ごすだって、なんでボクがそんな目にあわなくっちゃいけないんだよ!」
???「うるせえな!ちょっとは静かにしたらどうだ?」
晶「誰だ!」
晶がいた場所からは死角となり見えないところから一人の男が出てきた。見た目が浮浪者といった感じだ。
彼も同じ鞄を持っているところから、晶と同じ境遇であることが解る。
晶「おい!あんたもここに連れてこられたんだな」
男「ああ・・・そうさ」
すると、晶はふと思いついた。
晶「・・・じゃあボクたち以外にも人がいる可能性があるってことだよな?」
男「そうだな。オレも探したわけじゃないが・・・そうかもしれねえな」
晶「よし!ボクはその人達を探して合流する。あんたも一緒に来るか?」
男「いや・・・俺はやめておくぜ。一人のほうが性にあってるんでな」
晶「そうか・・・じゃボクはいくことにするよ」
男「・・・くれぐれも”生物”に気をつけることだな」
男と別れてから、数時間。いく手に白い煙が見える。
晶「あの煙はいったい・・・もしかしてあっちに誰かいるのか!」
煙の発信元まで来た晶は広場のような所にでた。どうやら白い煙の原因は松明のようだった。そこには晶と同様のテストプレイヤーが何人かいる。
晶が近くまで行くと、まとめ役のような男が話しかけてきた。
男「私は漆間と申します。以後お見知りおきを。あなたの名前はなんですか?」
晶「ボクは兎神晶。よろしく」
晶は人の中に合流でき、やっと安堵感を覚えた。
漆間「結構集まりましたね」
晶「えっとさ・・・ボクがここに来るまでに1人見かけたぜ」
晶「一応・・・誘ってみたけど来なかったけどね」
漆間「何か考えがあってのことでしょう。集まりたいひとだけが集まればいいですよ」
漆間「・・・ところで、さっきの話なんですが、各自に配られている食料の量に偏りがあるようです。ここは平等に皆で食料を出し合い、均等に分けるのはどうでしょうか?」
漆間はそう提示するが、いかにも気が強そうな女性がその意見に反論する。
女「私は反対ですわ。なぜ貴方たち凡人に私の食料を分けないといけないんですの?」
男「なんだと!こんな状況でそんなわがままが通用すると思っているのか!」
女「貴方は食料が少ないから多い私を妬んでいるんでしょう?・・・その量だとせいぜい後1食分が関の山ね」
男「このアマァ!言わせておけばッ!」
手を上げようとする男を漆間は宥める。
漆間「まぁまぁ。無駄なことに体力を使うのはやめましょう。分けたい人だけでわけるということでどうでしょう」
晶はそんな大人たちの様子を少し放れたところで見ていた。
晶「はあ・・・こんなところまで来てケンカしてどうすんだよ」
晶はあきれて地面に寝転がった――あれ何かにあったった?
??「いたっ!ったくあんたどこに目をつけてんのよ!」
晶は声のする方を見ると、一人の女の子がいた。
??「ふ。まあいいわ。ところであんた名前は?」
晶「ボクのは兎神晶だ。よろしく」
??「そう。あの大人よりもマシそうね」
晶「キミの名前は?」
??「なに?私の名前?蜜柑よ!本城蜜柑」
晶「蜜柑・・・変わった名前だね」
蜜柑「変な名前って言いたいわけ?」
晶「そんなんじゃないってwあっ揉め事が終わったみたいだよ」
大人たちのほうでは話が纏まったらしく、漆間が取りまとめ食料を分配する。
しかし、少ない人同士を集約し同じ人数で割るという事なので、あまり量的には変わりない。そして、元々大目に持っている人は、分けようとする素振りもない。
こういったところで、それぞれの人間性が出てくるのだろう。
漆間「今日はもう日も落ちてきたし寝ることにしましょう」
その夜は疲れもあり、すぐに眠ることが出来た。
2日目に事件が起きた。
女「私の食料が無くなってますわ!あなたが取ったんでしょ?早く返しなさい」
昨日、食料を分けなかった女が、自分の食料が無くなったとヒステリーな声を出して、周りのものに言いがかりをつけている。
初老「変な言いがかりをされても困る!ワシはとっていないぞ」
蜜柑「おはよ?朝っぱらから何の騒ぎ?」
晶「おはよう。あの人の食料が夜の間になくなったんだってさ」
蜜柑「昨日あれだけワガママ言ってたから自業自得ね」
蜜柑と晶は蚊帳の外で、状況を見ている。
女「いいえ!あなたの食料が昨日より増えてる。間違いないわ」
初老「あんたはどこまで自分勝手なんじゃ・・・」
二人が揉めていると、漆間が話に割り込んできた。
漆間「お二人とも喧嘩はやめてください。このままではらちがあかないですね。そうだ・・・この用意されたカードゲームの勝敗で白黒をつけるというのはどうですか?デュエルディスクまで用意されてますからね」
女「私はかまいませんわよ」
初老「ワシもデュエルには、ちと自信があるぞ」
蜜柑「ねぇ晶。デュエルって何?」
晶「鞄に入っていたカードの束があったろ?あれはデュエルモンスターズというカードゲームのカードなんだ。そして、これがデュエルディスク。互いにライフを持ち、相手のライフを0にしたプレイヤーが勝ちっていうカードゲームだよ」
蜜柑「ふーん。でもなんで私達全員にこんなのが、持たされてるのよ。ヒマ潰しかしらね」
晶「うーん。ボクもそこは疑問に思ってるよ」
蜜柑と晶が話しているのをよそに、初老の男と女の試合はまさに激戦。一進一対の攻防戦が続きいた。
初老「ジャベリンビートルでプレイヤーを攻撃じゃ!」
ジャベリンビートル 地 昆虫族 8 ATK 2450 / DEF 2550 「ジャベリンビートルの契約」により降臨。フィールドか手札から、レベルが8以上になるようカードを生け贄に捧げなければならない。 女「甘いですわよ!罠カード 魔法の筒! その攻撃をそのままお返ししますわよ!」
魔法の筒 通常罠 相手モンスター1体の攻撃を無効にし、そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手プレイヤーに与える。 初老 LP 1000 → 0
初老「ぅぅ・・・ワシの負けじゃ・・・ア・・・」
晶「勝負あったな。あれ・・・負けたおじいさんの体が・・・」
初老の男のライフが0になったと同時に、その場から消え去った!
蜜柑「あれ?あのおじいさんどこにいったの」
晶「・・・いったいどうなっているんだろう」
女「今までそこにいた・・・あの老人はどこにいったのですか!」
漆間「彼はゲームに負けた後に消えたように見えましたが・・・」
女「消えた?まさか・・・」
女「でも・・・私が勝ったことには変わりないですわ。このデッキと食料は私が貰います」
漆間(フフフ・・・やはり紙に書いてあったことは本当だったのですか・・・)
漆間は自分の紙に書かれていた文章を思い出した。
”あなたは特別に選ばれたプレイヤーです。あなたにだけ真実をお教えしましょう。皆に配られている紙に書いてある事は真実ではありません。このゲームは誰か1人になるまで終わりは来ません。どうやって人数を減らすかというと、付属のデュエルディスクでライバル達を倒し、消していくのです。では検討を祈ります”
漆間(この事は私以外誰も知らない・・・ふふふ)
女が勝ち宣言をしていると、外野から野次が飛ぶ
男「まて!消えたジジイの持ち物は皆でわけるべきだ!」
女「嫌よ!私が勝ったからこれは私のもの。あなたも欲しければ誰かを倒して手に入れることね。それともこの私と勝負するのかしら?」
男は黙ってこぶしを握った。
女「意気地がないこと。あと、私はここを出て一人で行かせてもらいます・・・せっかく手に入れたデッキや食料をまた取られたらたまらないですからね」
女は戦利品を抱え広場から出て行った
それを見守っていた人々がこう切り出す
男「俺も一人で生かせてもらうぜ。あいつの言うとおりかもしれない」
漆間「そうですか・・・まあ出ていきたい人は出て行けばいいですよ」
男「オレも」
女「私も」
男「僕もいくよ」
疑心暗鬼になった大人たちはばらばらに行動することを選択する。晶たちも仕方なくそれに倣うことにした。
晶「ボクも行くことにする。蜜柑。キミはどうする?」
蜜柑「私はデュエルモンスターズもやったことないし、どうしたらいいか・・・」
晶「ボクと一緒に来なよ!こう見えてもデュエルの腕にはちょっと自信があるんだぜ」
蜜柑「そうね・・・。デッキの使い方もわからないし・・・そうだ。このデッキをあんたに預けておくわ」
晶「うん。あとで2人分のデッキを合わせてデッキを作りなおそうか」
誰もいなくなった広場に残ったのは漆間一人だった
漆間(疑心暗鬼とは恐ろしいものですね。さて・・・私はライバル達を一人づつ片付けていくことにしましょうか)
漆間は不気味に笑った。
晶は蜜柑と共に、広場より木が生い茂っているところまで来た。
晶「この辺なら大丈夫かな。ちょっと疲れたから休もう」
蜜柑「そうね。あんたがそういうなら・・・」
蜜柑は肩で息をしながらも強気な態度で言い返す。なんというか、強情な性格というか。
晶「キミのデッキをちょっと見てみたんだけど、ボクのデッキのカードの相性が悪いみたいだ」
蜜柑「へぇ。そうなの?」
晶「ボクのデッキは暗黒界でキミのデッキが次元。デッキタイプが全く異なっていてうまく合わせられない――」
ガサガサ・・・
蜜柑「!!あっちの林から物音がしたわ」
晶「そこに誰かいるのか!」
???「あ〜あ。もう少しでデッキの内容まで判るとこだったんだがなぁ」
晶「何の目的だ!」
男「ガキのくせに女連れなんて生意気なんだよ!」
蜜柑「私は自分の意思で付いて行ってるだけよ!」
男「・・・そいつがいなくなれば、このオレについてくるかもな?」
蜜柑「バカいわないで!誰があんたなんかについていくもんですか!」
男「食料の強奪と女の確保。それ以外に何があると思う?」
晶「わかった・・・ボクが勝負してやる」
男「いい面構えだ・・・負けたらどうなるかはもう知ってるよな・・・フフ」
晶「わかってるさ。とっととはじめようぜ!」
晶&男「デュエル!」
1ターン目
男「ドロー!モンスターをセット、ターンエンド」
2ターン目
晶「ボクのターン!ドロー!暗黒界の狂王 ブロンを召喚!攻撃だ!」
暗黒界の狂王 ブロン 闇 悪魔族 4 ATK 1800 / DEF 400 このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、自分の手札からカードを1枚選択して墓地に捨てる事ができる。 男「安易な攻撃は死を招くぜ!伏せられたカードはデス・コアラだ!手札×400の直接ダメージを与える!」
デス・コアラ 闇 獣族 3 ATK 1100 / DEF 1800 リバース:相手の手札1枚につき400ポイントダメージを相手に与える。 晶 LP 4000 → 2000
男「な!」
蜜柑「晶。ちょっとしっかりしなさいよ」
晶「ライフ4000でデス・コアラなんてありかよ」
男「この凶悪なデッキをオレに渡したやつらを呪うんだな」
晶「カード1枚を伏せてターン終了!」
3ターン目
晶 LP 2000 手札:4 リバース1枚 暗黒界の狂王 ブロン〈表攻撃〉 デス・コアラ〈表守備〉 なし 男 LP 4000 手札:5 男「ドロー!デス・コアラを生贄にモンスターをセット。さらに1枚伏せてターンエンド!」
4ターン目
晶「よし!ボクのターン!ドロー!」
晶(場の伏せは2枚、あの裏守備モンスターは上級か・・・)
晶「セットされたそのカードを対象に暗黒界の雷を発動!」
暗黒界の雷 通常魔法 フィールド上に裏側表示で存在するカード1枚を選択して破壊する。その後、自分の手札を1枚選択して墓地に捨てる。 雷鳴が降り注ぎ、男の場の伏せを破壊する。
守護者スフィンクス(場) → 墓地
晶「破壊後にボクは手札を1枚捨てなければならない。捨てるカードは暗黒界の策士 グリン!」
暗黒界の策士 グリン(手札) → 墓地
晶「暗黒界の策士 グリンは捨てられた時、魔法&罠カードを破壊するぜ!そのカードを破壊!」
暗黒界の策士 グリン 闇 悪魔族 2 ATK 300 / DEF 500 このカードが他のカードの効果によって手札から墓地に捨てられた場合、フィールド上の魔法または罠カード1枚を破壊する。 男「なんだと!」
ディメンション・ウォール(場) → 墓地
晶「よし!暗黒界の狂王 ブロンでダイレクトアタック!」
男「グアア」
男 LP 4000 → 2200
晶「そして、暗黒界の狂王 ブロンの効果で、手札から暗黒界の軍神 シルバを墓地へ」
暗黒界の軍神 シルバ(墓地) → 場
晶「効果により暗黒界の軍神 シルバを墓地から特殊召喚してさらに攻撃だ!」
暗黒界の軍神 シルバ 闇 悪魔族 5 ATK 2300 / DEF 1400 このカードが他のカードの効果によって手札から墓地に捨てられた場合、このカードを自分フィールド上に特殊召喚する。相手のカードの効果によって捨てられた場合、さらに相手は手札2枚を選択し、好きな順番でデッキの一番下に戻す。 男 LP 2200 → 0
デュエル終了!!
勝者――晶!!男「まだ、消えたくない。ァァァァァ・・・」
男はその場から消え去り、それを見届けて蜜柑が駆け寄ってきた
蜜柑「あんたなかなかやるじゃない!自分で強いって豪語してるだけはあるみたいね」
男「まあね。これでも大会で優勝したこともあるんだぜ」
蜜柑「でも。こんなカードやってるなんてガキねぇ」
男「おまえなさっきから聞いてりゃ――」
そんな二人の様子を陰から見ている人物が一人いた。
???(ウヒヒ・・・暗黒界と次元デッキ・・・かならず手に入れてみせますよ)
・・・to be continued