デュエルロワイヤル第2話


○草原○


 男は一人地べたに寝そべって遠くに広がる空を見ていた。

 ――ここでの生活も悪くない。ここに来る前に彼は人生のどん底にいた。

 息子は幼い時に死に。仕事は思うようにいかず、会社はクビになり、さらに仕事に没頭するあまり愛想を尽かした妻はホスト遊びに手を出し借金を作り蒸発。

 結局彼の元にはなにものこらなかった。そんな彼が何故だかここに連れてこられた。

 選ばれた理由はわからないが煩わしい元の世界より幾分かマシだった。

 ふと昨日会ったの子供の事をが頭に浮かんだ。自分の息子も生きていれば、ちょうどあれぐらいだろうか。理由はわからないがもう一度会ってみたくなった。


○森○


蜜柑「あら?あんなとこに鞄が置いてあるわよ、食べ物とかもあるかも知れないわね」

 見晴らしのよいところに鞄を見つけ、前方を指さす蜜柑。

晶「ん?ホントだなでもあんな見えるところに置いてあるなんて不自然だな・・・」

蜜柑「・・・ようするに行きたくないわけね?いいわこの私が取って来てあげる」

 蜜柑は素早い身のこなしで鞄のところまで移動し、鞄に近づいた次の瞬間。

蜜柑「キャァ」

 罠にかかった。蜜柑の体は網に引っかかり動けなくなってしまう

晶「蜜柑!大丈夫か!」

蜜柑「大丈夫なわけないでしょ!早く助けなさいよ」

 晶が駆け寄るよりも前に男が現れ、蜜柑に近づいた。

晶「おまえは!!」

男「それ以上近付かないでくれたまえ、さもないとこの子が痛い思いをしてしまうかもしれませんよ」

 眼鏡をかけた白衣の男は蜜柑にスタンガンを構えスイッチを入れる仕草をする。

晶「くっ!解ったこれ以上は近づかない」

 男は、恥らう蜜柑を尻目に、蜜柑の体を調べだす。

蜜柑「ちょっとあんたどこさわってんのよ」

ハカセ「侵害ですね。あなたのような子供に興味はありません。私の狙いはこれです」

 発見した蜜柑のポケットからデッキを取り出し晶のほうに見せる。

晶「デッキか!」

ハカセ「そうです。私の持っているデッキは外れでしてね。このサバイバルを勝ち進めるほどの力はなかった」

 男は鞄から自分のデッキを取り出してばらまいた。くいぐるみ、コケ、etc彼の言う通りどれも一戦で戦えるモンスターではない。

ハカセ「・・・しかし幸いでした。そんな時にあなた達があらわれた。そして私は思いつきました。使えるデッキがなければ他人から奪えばいいとね」

ハカセ「だから貴方たちのデッキ両方を貰おうと思い罠をはってまっていたのです。あなた達が暗黒界と次元デッキを持っていることは確認させてもらいましたよ」

ハカセ「・・・そして、私が今手に入れたデッキは次元デッキ・・・フフフ・・・」

晶「くそっ!」

ハカセ「さぁ!私と戦いなさい!もっともこのデッキとの相性は最悪ですがね?」

晶(蜜柑が持っていた次元デッキとボクが持っている暗黒界デッキの相性は最悪。墓地が封じられてしまうとほとんどのコンボが使えなくなってしまう。受けるか・・・それとも)

??「困っているようだな少年。その勝負私が受けよう」

ハカセ「!!誰です」

晶「あっあんたはたしか・・・」

 1日目に合流した時に、多少面識がある男だが名前までは覚えていない。

??「よう。あの時以来だな元気でやってるか?」

ハカセ「あなたと戦う気はありません。私はあくまでもこの子供――」

男「オレに恐れをなして逃げるのか?あんた臆病者だな」

ハカセ「私が逃げるだと!」

男「ならば・・・俺と戦え」

ハカセ「ふっまあ良いでしょう。私を侮辱した罪を償うがいい」

晶「あんたには関係ないはずだ!」

 男は晶の方を見て不敵に笑った。

ハカセ&男「デュエル!」

1ターン目

ハカセ「私のターンドロー!いいカードを引きましたよ!異次元の生還者召喚!」

異次元の生還者戦士族4
ATK 1800 / DEF 200
自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードがゲームから除外された場合、このカードはエンドフェイズ時にフィールド上に特殊召喚される。

ハカセ「さらに、次元の裂け目、魂吸収を発動!1枚のカードをセット」

魂吸収永続魔法
このカードのコントローラーはカードがゲームから除外される度に、1枚につき500ライフポイント回復する。

次元の裂け目永続魔法
墓地へ送られるモンスターは墓地へは行かずゲームから除外される。

ハカセ「貴方のターンです」

2ターン目

男「オレのターンドロー!フィールド魔法!ハーピィの狩場」

 場は山になり、ハーピィの声がこだまする!

ハーピィの狩場フィールド魔法
「ハーピィ・レディ」または「ハーピィ・レディ三姉妹」がフィールド上に召喚・特殊召喚された時、フィールドに存在する魔法・罠カード1枚を破壊する。フィールド上に表側表示で存在する鳥獣族モンスターは攻撃力と守備力が200アップする。

男「手札よりハーピィ・クィーンを召喚する!」

ハーピィ・クィーン鳥獣族4
ATK 1900 / DEF 1200
このカードを手札から墓地に捨てる。デッキから「ハーピィの狩場」1枚を手札に加える。このカードのカード名は、フィールド上または墓地に存在する限り「ハーピィ・レディ」として扱う。

男「ハーピィの狩場の効果により、次元の裂け目を破壊する!」

次元の裂け目(場) → 墓地

ハカセ「ぐぬぬゥ・・・」

男「そのまま攻撃する!」

ハカセ「ここでモンスターを破壊されてまずいですね・・・罠カード!亜空間物質転送装置!効果により、異次元の生還者を一度除外しますよ!」

亜空間物質転送装置通常罠
自分のフィールド上の表側表示モンスター1体を選択し、発動ターンのエンドフェイズまでゲームから除外する。

男「それでは対象をへ変更する!」

 クイーンの一撃がハカセを切り裂く!

ハカセ LP 4000 → 1900

ハカセ「ハアハア・・・」

男「ターンエンド」

3ターン目

LP 4000手札:4
ハーピィの狩場〈表側表示〉
ハーピィ・クイーン〈表攻撃〉
異次元の生還者〈表攻撃〉
魂吸収
ハカセLP 1900手札:2

男「私のターンドロー!異次元の生還者を生贄に――砂塵の悪霊を召喚!」

砂塵の悪霊アンデット族6
ATK 2200 / DEF 1800
このカードは特殊召喚できない。召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。このカードが召喚・リバースした時、フィールド上のこのカード以外の表側表示モンスターを全て破壊する。

 砂塵の悪霊は現れた時、すべてのモンスターを破壊する!ハーピィ・クイーンは破壊される

ハーピィ・クィーン(場) → 墓地

ハカセ「場をがら空きにしたところで、プレイヤーにダイレクトアタック!」

男 LP 4000 → 1800

男「クッ」

ハカセ「1枚伏せてターンエンド。エンド時に砂塵の悪霊を手札に戻します」

砂塵の悪霊(場) → 手札

4ターン目

男「オレのターンドロー!ハーピィ・レディ・SBを召喚!」

ハーピィ・レディ・SB鳥獣族4
ATK 1800 / DEF 1300
このカード名はルール上「ハーピィ・レディ」とする。

男「ハーピィの狩場の効果発動!伏せカードを破壊する」

ハカセ(伏せカードは破壊されたら私に勝ち目はない・・・こうなれば・・・)

ハカセ「キサマも道連れにしてやるゥゥ!罠カード!破壊輪!対象はハーピィレディ・SBィ!」

破壊輪通常罠
フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を破壊し、お互いにその攻撃力分のダメージを受ける。

男「!!」

 ハーピィ・レディ・SBの首に破壊輪が装着され爆発を起こす

ハーピィ・レディ・SB(場) → 墓地

男 LP 1800 → 0

ハカセ LP 1900 → 0

ハカセ「アハっハハハ・・・アァァァ・・・」

男「とんだどじを踏んだもんだ・・・おまえたち達者でなァ」

晶「あんたまさか!ボクたちを守るために!なんでだなぜそこまで!」

男「なんでだろうな・・・フッ あばよ」

 二人は姿を消した。そして晶はしばらく余韻に浸っていたが、背後に視線を感じて後ろを振り返った。

 そこには放置された蜜柑が恐ろしい顔でこちらを見ていた。

蜜柑「・・・ちょっと晶くん?レディが倒れてるのに放置するなんてどういうつもり?」

晶「ぁぁぁ ご・・・ゴメンスマン!蜜柑の事すっかり忘れてた!あれ?なに?ご機嫌斜め?待ってくれ!話せばわかる!ギャぁぁぁぁ!」

 晶の絶叫が響きわたった!



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