お兄ちゃんとわたしの決闘(デュエル)にっき


○第一章○


 俺の名前は轟祐介(とどろきゆうすけ)。高校2年。

 俺は今、病院に来ている

 なんでかって?

 もちろん見舞いだ。

 この病院には俺の妹である轟ノアが入院しているからだ。

 ノアは俺より2つ下で中学3年だ。顔は普通で髪は短め。中学になってから生意気にめ髪を金髪に染めていたりする。おっと話がそれたな。

 だから俺はいつも通り見舞いにきたわけだ。

 けっこうマメだよな俺。

 トントン。

 一人部屋だが一応ノックしておく。

 この間、妹の着替え中にノックをせずドアを開けたらさんざん怒られた。わざとじゃないって。

祐介「ノア いるか〜?入るぞー?」

ノア「入れば〜」

 奥にあるベッドには妹がいた。

 何をするでもなく近くの窓から外を眺めている。

祐介「お兄ちゃん来てやったぞ!嬉しいか?」

ノア「馬鹿じゃないの?」

祐介「ちっノリの悪いやつ」

ノア「ふふふ」

祐介「ところで体調のほうはどうだ?」

ノア「ふつーだよ。でも凄く退屈〜」

祐介「じゃ今度うちからなんか暇潰しになるもん持って来てやるよ」

ノア「じゃあね。私の部屋にあるこれくらいの黒いカバン持ってきてよ」

 ノアは手でカバンのサイズを伝えようとしてるらしい。

 けっこう大きくないか?

祐介「明日にでも持って来てやるよ」

ノア「ありがとう。お兄ちゃん」

祐介「おうよ、でさそのカバンには何が入ってるんだ?」

ノア「知りたい?もうお兄ちゃんたら私の秘密を知りたいなんて変態さんなんだからー。どうしても見たいなら明日、見せてあげるね」

祐介「こら。他人が聞いたら俺が態みたいに思われるだろーがっ」

ノア「ふふふ」

 その後、適当な時間になったので俺は病院を後にした。

 翌日。俺は妹の部屋から黒いバッグを探しだし、妹がいる病院に向かった。

 トントン。

祐介「入るぞ」

ノア「遅ーい。お兄ちゃんのこと待ってたんだよ」

祐介「お前が待ってたのは俺じゃなくてこっちだろ?持ってきたぞ」

ノア「そっ、そんなことないよ」

 俺は片手で持っていた黒いカバンを机に置いた。けっこう重かったがいったい何か入っているんだろうか?

ノア「わぁー。すっごい久しぶり!」

 妹は感嘆の声を上げながら黒いカバンを開けた。

 黒いカバンの中から出てきたのはカードの束だった。

祐介「ゆう…ぎおう?あっなんか聞いたことあるぞ」

ノア「お兄ちゃん知らないの?カードゲームの中じゃすごく人気なんだよ」

祐介「まあ俺はカードとか集めてないしな、ってかお前カードをやってたんだな、知らなかったぜ」

ノア「そうだよ、あっそうだ!ちょっと肩慣らしに対戦してよ」

祐介「対戦?俺はやったことないからルールわかんないぞ」

ノア「だいじょーぶだって」


○第二章○


 俺は妹からレクチャーを受けながら対戦相手をすることになった。

ノア「習うより慣れろだよ、お兄ちゃん。対戦の中で覚えてね」

祐介「なあノア。いくらなんでもそれはムチャじゃないか?」

ノア「だいじょーぶ!私が先やるから見ててね」

1ターン目

ノア「互いににまずデッキから五枚ひいて、ドロー!スタンバイ、メインフェイズ!」

ノア「手札からモンスターをセット、さらにリバースカードを1枚セットしてターン終了よ」

祐介「あっそれ何のカードがわかんないけどいいのか?」

ノア「えーと、レベル4以下のモンスターは表側攻撃表示か裏側守備表示で出すことができるの、だから私の前列のカードは4レベル以下のモンスターカード、因みに裏側だから表側にしないとどんなモンスターかわからないのがポイントだよ、因みに後列に裏側でセットしたカードはマジックかトラップカードよ」

ノア「説明すると、マジックカードは自分のターンにしか使えない使い捨てのカード。トラップカードは一度伏せたら相手のターン以降から使えるカードだよ」

 なんだ・・・?

 いきなりよくわからなくなってきたぞ。

ノア「次はお兄ちゃんの番だよ。ちなみに、このターンからバトルできるからね」

2ターン目

祐介「わかった。じゃまずは1枚ひいてと、これを出すには・・・と」

 俺はルールブックを片手に考えた。

祐介「バトルは攻撃力と守備力で計算するんだったよな。ジャイアント・オークを出すぜ、攻撃力が2200ならそうそう負けないだろ」

ジャイアント・オーク悪魔族4
ATK 2200 / DEF 0
このカードは攻撃した場合、バトルフェイズ終了時に守備表示になる。次の自分ターン終了時までこのカードの表示形式は変更できない。

ノア「ただしバトルした後には疲弊して守備力になっちゃうけどね」

祐介「よし、じゃあジャイアント・オークで伏せにアタック」

ノア「オッケー。じゃこのモンスターは戦闘破壊ね」

〈ジャイアント・オーク〉ATK 2200 VS 〈シャインエンジェル〉DEF 800
撃破!

ノア「シャインエンジェルの効果によってデッキから攻撃力1500以下光属性モンスターのものマネ幻想師を特殊召喚よ!」

シャインエンジェル天使族4
ATK 1400 / DEF 800
このカードが戦闘によって墓地へ送られた時、デッキから攻撃力1500以下の光属性モンスター1体を自分のフィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。その後デッキをシャッフルする。

ものマネ幻想師魔法使い族1
ATK 0 / DEF 0
このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、このカードの攻撃力・守備力は、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体の元々の攻撃力・守備力になる。

祐介「攻撃力0?わざわざそんな弱いカードを選ぶのか?」

ノア「お兄ちゃん甘いわね。ものマネ幻想師は召喚・特殊召喚した時に相手のモンスターになりすます事ができるの」

ノア「ジャイアントオークの攻撃力と同じ数値がものマネ幻想師の攻撃力になるのよ」

祐介「やることなくなったからターンエンドだ」

3ターン目

ノア「じゃ私のターン!ドロー!スタンバイ!メインフェイズ、ものマネ幻想師をリリース−−天空騎士パーシアスをアドバンス召喚!」

天空騎士パーシアス天使族5
ATK 1900 / DEF 1400
守備表示モンスター攻撃時、その守備力を攻撃力が越えていれば、その数値だけ相手に戦闘ダメージを与える。また、このカードが相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えた時、自分はカードを1枚ドローする。

祐介「アドバンス召喚てなんだ?」

ノア「レベル5以上の高レベルモンスターを出す場合に自分フィールドのモンスターを生け贄に呼び出す召喚方法だよ、昔は生け贄召喚と言われたんだよ」

祐介「わかった!」

ノア「じゃバトルフェイズ、天空騎士パーシアスでジャイアント・オークに攻撃!」

〈天空騎士パーシアス〉ATK 1900 VS 〈ジャイアント・オーク〉DEF 0
撃破!

ノア「天空騎士パーシアスのモンスター効果!守備力を超えた数値だけダメージを与える!1900ダメージね、あと私は1枚ドロー!」

祐介 LP 4000 → 2100

祐介「それ!めっちゃくちゃ強くないか?」

ノア「そうかな?攻撃力1900だからすぐに倒されちゃうよ」

ノア「1枚伏せてターン終了だよ」

4ターン目

祐介「よしっいくぜ!ドロー!手札から魔法カードを使うぜ!死者蘇生!ジャイアントオークを蘇生!さらにジャイアントオークを生け贄にして邪帝ガイウスを出す」

死者蘇生通常魔法
自分または相手の墓地に存在するモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。

邪帝ガイウス悪魔族6
ATK 2400 / DEF 1000
このカードの生け贄召喚に成功した時、フィールド上に存在するカード1枚を除外する。除外したカードが闇属性モンスターだった場合、相手ライフに1000ポイントダメージを与える。

ノア「邪帝ガイウスの効果対象はどれにする?」

祐介「1枚除外効果かじゃあ、そのパーシアスを除外!」

 邪帝が放った黒い炎が天空騎士に襲いかかる。

 行けるか?俺はそう思っていたがそうはいかなかった。

天罰カウンター罠
手札を1枚捨てて発動する。効果モンスターの効果の発動を無効にし破壊する。

ノア「そうはさせないよ!リバーストラップ!天罰!手札1枚を捨てて邪帝ガイウスの効果を無効にして破壊だよ」

祐介「そんなもんがあったのか!」

ノア「カウンター罠は相手の行動に対してカウンターできるの」

冥王竜ヴァンダルギオンドラゴン族8
ATK 2800 / DEF 2500
相手がコントロールするカードの発動をカウンター罠で無効にした場合、このカードを手札から特殊召喚する事ができる。この方法で特殊召喚に成功した時、無効にしたカードの種類により以下の効果を発動する。
●魔法:相手ライフに1500ポイントダメージを与える。
●罠:相手フィールド上のカード1枚を選択して破壊する。
●効果モンスター:自分の墓地からモンスター1体を選択して自分フィールド上に特殊召喚する。

ノア「そしてさらにカウンター罠を発動したこの時手札からモンスター効果を発動させるわ!冥王竜ヴァンダルギオンを特殊召喚!」

祐介「ななななんだ!」

ノア「さらにカウンター罠で効果モンスターを無効にした時、自分の墓地からモンスターを特殊召喚!墓地からコストとして捨てた光神機−轟龍を特殊召喚するね」

光神機−轟龍天使族8
ATK 2900 / DEF 1800
このカードは生け贄1体で召喚する事ができる。この方法で召喚した場合、このカードはエンドフェイズ時に墓地へ送られる。また、このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

 ノアのフィールドに並ぶ大型モンスター。これは無理だろ。

祐介「・・・なあ妹よ。手加減て言葉を知ってるか?」

ノア「何言ってるのお兄ちゃん?手加減なんてしたら相手に失礼じゃない。私はいつでも全力全開だよ」

祐介「くっ厳しいがリバースカードをセットして終了だ」

ノア「じゃそのリバースカードに対して砂塵の大竜巻を発動だよ」

砂塵の大竜巻通常罠
相手フィールド上の魔法または罠カード1枚を破壊する。破壊した後、自分の手札から魔法または罠カード1枚をセットする事ができる。

 無慈悲にも伏せた聖なるバリア−ミラーフォース−は破壊される。

祐介「ぐぉぉー」

ノア「あと砂塵の大竜巻の効果で手札からこのカードをセットするね」

5ターン目

ノア「私のターンドロー!スタンバイ!メイン!バトル!」

ノア「冥竜王ヴァンダルギオンでお兄ちゃんにダイレクトアタック!!」

祐介 LP 2100 → 0

デュエル終了!!
勝者――ノア!!

ノア「やった!私の勝ちだね!」

祐介「俺、泣いていいだろうか?」

ノア「ダメ。そんな後ろ向きな事考える暇があったら強くなるために修行して来たら?近場に私がよく行くショップあるから教えたげるね」

ノア「あっそうだついでに大会情報の乗ってるチラシとか持ってきてよね。楽しみにしてるから」

 いつのまにか妹のペースに乗せられてるな。

 まあ、たまには付き合ってやるかな。

祐介「わかったよ」

ノア「ありがと!お兄ちゃん」

 妹はそういって微笑んだ。

 ああ、昔からこの笑顔に弱いな俺。



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