お兄ちゃんとわたしの決闘(デュエル)にっき


○第三章○


 それから数日後、俺はノアの言っていた店まで来ていた。

 店内は明るく、いろいろな種類のカードが陳列されていた。

 奥にはデュエルスペースと呼ばれる場所があり、フリーで対戦できるらしい。

 ノアにチラシを持って来て欲しいと言っていたのを思い出しチラシがおいてある場所に向かった。

 しばらく眺めていると誰かが話かけてくる。

??「もしかして、ノアちゃんのお兄さんですか?」

 何か聞き覚えがあると声だと思い、ふりかえるとそこには女の子がいた。

 青色の髪にツインテール。

 顔はかわいい部類にはいるだろう。

 ちなみに妹の友達で名前は・・・なんだったかな

渚「私です。渚です」

 あっそうだ。

 大原渚ちゃんだ。

 妹の見舞いに来てくれた時に何か顔を合わせていたりする。

祐介「やぁ、渚ちゃんか、奇遇だね」

渚「そうですね〜。あれ?お兄さんもカードやっていたんですか?」

祐介「ふっ、俺は妹にパシられてるだけだよ」

渚「まぁそうなんですか!」

 冗談のつもりだったんだけどまあいいか。

祐介「ところで、渚ちゃんはどうしてこんなところに?」

渚「店長さんにお願いされちゃいまして、カードゲーム大会の受付をやっていたんです」

祐介「そうなんだ。ちょっとフリーでの対戦相手をお願いしようかと思ったけど時間あるかな?」

渚「大丈夫です。大会は午前中で終わりましたから」

 そういって渚ちゃんはデュエルスペースに向かった。

 あれ?場所が空いてないけど大丈夫かな?

渚「ノアちゃんのお兄さん!ここの机なら使っていいみたいですよ〜」

 渚ちゃん。ノアちゃんのお兄さんってなんだがおかしいだろ?

 周りの客達に笑われたので次から下の名前で呼んでもらう事にしよう。

渚「じゃ始めましょうかノアちゃんのお兄さん」

祐介「渚ちゃん。ノアちゃんのお兄さんってなんか変だから俺の事は呼び捨てでいいよ」

渚「変…ですか?じゃあ下の名前の祐介さんでいいですか?」

祐介「うんまあ、それでいいよ」

渚「じゃあ祐介さん、ルールはご存知ですか?」

祐介「何日か前にノアから教えてもらったから少しは・・・」

渚「じゃあ少し私がレクチャーしますね・・・」

 長くなりそうだからかいつまんでまとめるとこんな感じ。

 〜デッキ構築について〜

 メインデッキ・・・40〜60枚。

 エクストラデッキ・・・0〜15枚。

 ・エクストラデッキは融合モンスターやシンクロモンスターを入れるらしい。

 ・サイドデッキというのが昔あったみたいだけど今は使われてないから省略。

 ・同名カードはデッキに三枚まで(ただしプリニー隊は何枚でも可)。

 ・強すぎるカードは特定枚数しかデッキに使えないというルールがあるらしい。

 デッキについては以上だ。

 しっかしプリニー隊なんてカード見た事ないなぁ。


○第四章○


 対戦方法については妹から聞いていたので早速対戦。

渚「では、祐介さん先攻どうぞ」

1ターン目

祐介「先攻はもらった!ドロー!キラー・トマトを出してターン終了!」

キラー・トマト植物族4
ATK 1400 / DEF 1100
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、自分のデッキから攻撃力1500以下の闇属性モンスター1体を自分フィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。

2ターン目

渚「ではターンもらいますね。ドロー!」

渚「祐介さんの場にモンスターがいるので手札からサイバー・ドラゴンを特殊召喚します」

サイバー・ドラゴン機械族5
ATK 2100 / DEF 1600
相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在していない場合、このカードは手札から特殊召喚する事ができる。

渚「さらに手札からプロト・サイバー・ドラゴンを召喚して融合を発動します」

プロト・サイバー・ドラゴン機械族3
ATK 1100 / DEF 600
このカードはフィールド上に表側表示で存在する限り、カード名を「サイバー・ドラゴン」として扱う。

 融合によりサイバー・ドラゴンとプロト・サイバー・ドラゴンが融合してサイバー・ツイン・ドラゴンが融合召喚される。

渚「融合で特殊召喚したサイバー・ツイン・ドラゴンの攻撃力は2800です」

祐介「渚ちゃん?それ強くない?」

渚「はい!亮くんの使っていたカードだから強くてかっこいいです」

 亮って誰だよと後に聞いたら遊戯王の登場キャラクターで丸藤亮というキャラクターがいるらしい。ちなみに渚ちゃんは亮くんファンなんだそうだ。

渚「サイバー・ツイン・ドラゴンの特殊召喚に対して何もなければバトルに入っていいですか?」

祐介「オッケーだよ!打つ手ないし」

渚「バトルフェイズはいっちゃいます。サイバー・ツイン・ドラゴンでキラー・トマトを攻撃します!エボリューションツインバーストッ!」

〈サイバー・ツイン・ドラゴン〉ATK 2800 VS 〈キラー・トマト〉ATK 1400
撃破!

祐介 LP 4000 → 2600

祐介「キラー・トマトの効果!デッキから攻撃力1500以下のスナイプストーカーを特殊召喚するぜ!」

スナイプストーカー悪魔族4
ATK 1500 / DEF 600
手札を1枚捨て、フィールド上に存在するカードを1枚選択して発動する。サイコロを1回振り、1・6以外が出た場合、選択したカードを破壊する。

 次のターンにスナイプストーカーの効果を使えば逆転できるぜ。

 そんな事を考えていると…

渚「サイバー・ツイン・ドラゴンで二回目の攻撃をします!エボリューションツインバーストッ!二回めッ」

祐介「えぇ!モンスターは一度のバトルフェイズに攻撃は1回なんじゃないの?」

渚「はい。確かにそうなんですけどルールよりカード効果を優先するんですよ」

サイバー・ツイン・ドラゴン機械族8
ATK 2800 / DEF 2100
「サイバー・ドラゴン」+「サイバー・ドラゴン」
このモンスターの融合召喚は、上記のカードでしか行えない。このカードは一度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。

祐介「マジかっ!だったらキラー・トマトをもう1枚出しておく方が良かったな」

渚「フリーですからキラー・トマトを特殊召喚に変えてもいいですよ」

 俺はすまんねと言いつつキラー・トマトを出した。

 これなら、キラー・トマトを倒された後にスナイプストーカーを出す事ができるわけだ。

渚「ではサイバー・ツイン・ドラゴンで攻撃せずに、バトルフェイズを終了しますね」

 バトルしないだって!攻撃して来ると思ってたのに予想外だぜ

渚「メインフェイズ2にリバースカードを1枚セットしてターン終了です」

3ターン目

祐介「俺のターンドロー!」

 スナイプストーカーを出す予定は崩れたが、引いたカードは邪帝ガイウス。こいつは確か出した時にカード1枚除外だったな。

祐介「キラー・トマトをリリースして邪帝ガイウスを出す!」

邪帝ガイウス悪魔族6
ATK 2400 / DEF 1000
このカードの生け贄召喚に成功した時、フィールド上に存在するカード1枚を除外する。除外したカードが闇属性モンスターだった場合、相手ライフに1000ポイントダメージを与える。

渚「アドバンス召喚に対してチェーンしますね。亜空間物質転送装置!」

 サイバー・ツイン・ドラゴンは次元の歪みへと消えた。

渚「亜空間物質転送装置の効果はこのターンのエンドフェイズまで自分のモンスター1枚を除外です」

亜空間物質転送装置通常罠
自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、発動ターンのエンドフェイズ時までゲームから除外する。

祐介「サイバー・ツイン・ドラゴンは除外かぁ。じゃあここで渚ちゃんにダイレクトアタックできるわけだね」

渚「残念ですけど、祐介さんまだ邪帝ガイウスの効果が残ってますよ」

祐介「邪帝ガイウスの効果を使わないってできないの?」

渚「任意効果ならいいんですけど、邪帝ガイウスの効果は強制効果なので必ず使わないといけないんです」

祐介「〜できる任意効果で誰か」

 邪帝ガイウスは黒い炎を収束し始め、そのまま暴発した。

渚 LP 4000 → 3000

祐介「邪帝が除外された!」

渚「はい。フィールドにガイウスしかないので自分が除外されたみたいですね。あとガイウス自身は闇属性だから私に1000ダメージです」

祐介「まずいな一気に不利になってしまった」

祐介「リバースカードを一枚伏せてターン終了」

 ターン終了宣言でタイミングでサイバー・ツイン・ドラゴンは渚ちゃんの場に戻ってきた。

4ターン目

渚「ではターンもらいますね。ドロー!」

渚「メインフェイズは特に無しでバトルに入ります」

渚「サイバー・ツイン・ドラゴンで祐介さんにダイレクトアタックします。エヴォリューションツインバーストッ」

 サイバー・ツイン・ドラゴンの二つの口から光線が放たれる。

 これを通すわけにはいかない。さっき伏せリバース罠を発動するしかないだろう。

祐介「罠を使わせてもらう!聖なるバリア−ミラーフォース−」

聖なるバリア−ミラーフォース−通常罠
相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。相手フィールド上に存在する攻撃表示モンスターを全て破壊する。

 サイバー・ツイン・ドラゴンの光線はミラーバリアに跳ね返されサイバー・ツイン・ドラゴンは破壊された。

渚「ミラーフォースですか!」

 渚ちゃんは表示を変えたがすぐに笑顔に戻った。

渚「メインフェイズ2に入ります、モンスターをセットします!さらにリバースカード1枚をセットしてターン終了です」

5ターン目

祐介「俺のターンドロー!」

 渚ちゃんの場に正体不明のモンスターが1体か。ここは守備力が高いモンスターを置いて様子をみておくか…。

祐介「モンスターを裏守備でセットしてターンエンドだ」

6ターン目

渚「ではターンもらいますね。ドロー。サイバー・ドラゴン・ツヴァイを召喚して効果発動です」

サイバー・ドラゴン・ツヴァイ機械族4
ATK 1500 / DEF 1000
このカードは相手モンスターに攻撃する場合、ダメージステップの間攻撃力が300ポイントアップする。1ターンに1度、手札の魔法カード1枚を相手に見せる事で、このカードのカード名はエンドフェイズ時まで「サイバー・ドラゴン」として扱う。また、このカードが墓地に存在する場合、このカードのカード名は「サイバー・ドラゴン」として扱う。

渚「手札の魔法カードを祐介さんに見せてこのカード名をサイバー・ドラゴンにします」

エヴォリューション・バ−スト通常魔法
自分フィールド上に「サイバー・ドラゴン」が表側表示で存在する場合のみ発動する事ができる。相手フィールド上のカード1枚を破壊する。このカードを発動するターン「サイバー・ドラゴン」は攻撃する事ができない。

 見せられたカードはエヴォリューション・バ−ストというカードだった。

 渚ちゃんが使っているサイバー系の専用カードだろう。

渚「次に私の場にサイバー・ドラゴンがいるので魔法カードのエヴォリューション・バーストを発動します」

 サイバー・ドラゴンになりすましたツヴァイが光線を放ち伏せカードを破壊する。

 祐介の場の墓守の偵察者が破壊された。

墓守の偵察者魔法使い族4
ATK 1200 / DEF 2000
リバース:自分のデッキから攻撃力1500以下の「墓守の」という名のついたモンスターカードを1枚特殊召喚する。

 厳しっ

渚「次に融合呪印生物−光を反転召喚しますね」

融合呪印生物−光岩石族3
ATK 1000 / DEF 1600
このカードを融合素材モンスター1体の代わりにする事ができる。その際、他の融合素材モンスターは正規のものでなければならない。フィールド上のこのカードを含む融合素材モンスターを生け贄に捧げる事で、光属性の融合モンスター1体を特殊召喚する。

祐介「ゲゲッ!あの伏せたモンスターはあんな弱いモンスターだったのか」

渚「裏側のカードは相手にわからないですからそれを逆手にとるという方法もあるんです」

渚「場の呪印生物−光の効果を使います。サイバー・ドラゴンの名前を得たツヴァイと呪印生物をリリースし、サイバー・ツイン・ドラゴンを呪印融合します!」

 サイバー・ツイン・ドラゴンは融合召喚で出す場合にはサイバー・ドラゴン二枚で融合する必要があるが効果で特殊召喚する場合は制約はないらしい。

渚「行きます!サイバー・ツイン・ドラゴンで祐介さんにダイレクトアタックします。エヴォリューションツインバーストッ」

デュエル終了!!
勝者――渚!!


○第五章○


祐介「うわっ!また負けた」

渚「ありがとうございました」

祐介「こちらこそ、付き合ってくれてありがとう。なにかお礼しないといけないな」

渚「気にしないで下さい。私も楽しかったですから」

祐介「それじゃあ俺の気がすまないよ。この後、ファミレス行ってそこで飯奢るからそれでどう?」

渚「分かりました」

 時計をみるとあと少しで閉店の時間だったので俺たちは店を後にした。

 手近な喫茶店をみつけて俺達は店に入った。

祐介「何が食べたい?」

渚「これ頼んでいいですか?」

 渚ちゃんは生クリームをふんだんに使ったパフェを指さした。しかも上目遣いか…これはNGとは言えないな。

祐介「いいよ。あと飲み物はどうする?」

渚「ホットのレモンティーでお願いします」

 ウェイトレスにパフェと飲み物を注文した。

 ちなみに俺はコーヒーを頼んだ。

渚「私、この店のパフェ食べてみたかったんですよ」

祐介「渚ちゃんは甘いモノが好きなの?」

渚「はい。こういうところだとついつい頼んじゃいますね」

祐介「分かるかも。俺も結構好きなんだけどあんまり注文しないかな」

渚「どうしてですか?」

祐介「ちょっと抵抗あるんだよね、女の子は頼む事が多いけど男って頼む人いないじゃん」

 ちょうどその時、注文していたパフェと飲み物が来た。

 気をきかせたらしくスプーンが二個用意されている。

渚「パフェ来ましたね。いただきます」

 二つのスプーンに気がついた渚ちゃんは…。

渚「スプーン二個付いてますね。祐介さんもパフェ食べます?」

祐介「そうだねぇ。じゃ一口だけもらうよ」

 一口なら関節キスとかじゃないから平気だろ。そう思い口に運ぶ。

渚「あっこのパフェの下のほうにプリンが入ってますよ」

祐介「ホントだ、さっきは生クリームに隠れてて見えなかったね」

渚「はい。すっごくおいしいので祐介さんも食べてみて下さい」

 ぶっ

 危なくコーヒーを吐き出すところだった。いやまて渚ちゃんはこういうのを気にしないタイプなんだ。変に断るのも悪いよな?

祐介「そ…そう?じゃあもう一口もらおうかな」

 プリンをすくって口に入れると…

渚「関節キス」

 俺は渚ちゃんの一言に盛大にむせた。

祐介「気管に入ったかもしんない。ごほッ」

渚「祐介さん大丈夫ですか?」

祐介「なんとかね…」

渚「ごめんなさい。ちょっと言ってみたかったんです」

祐介「人間意外性ってのは大事だよね。うん」

 落ち着いた俺は聞こうとしていた話を切り出した。

祐介「そうだ。渚ちゃんに聞こうと思ってた事があるんだけどさ」

渚「なんですか?」

祐介「今度また、対戦相手をして欲しいんだけど、あの店にはどれくらいの頻度で顔出してる?」

 渚ちゃんはうーんと考える仕草をした後、こう答えた。

渚「ノアちゃんが元気な時は頻繁に行ってましたけど最近はあまり行かないですね。やっぱり女の子が少ないから行きにくいです」

祐介「そっかぁ」

渚「あっでも先に連絡してくれたら行けますよ」

祐介「んじゃ、連絡先教えてもらえる?」

渚「はい。大丈夫です」

 渚ちゃんの連絡先をゲットした。やましい気持ち?否、断じて否だ…と思う。

 その後、適当に話した後、俺たちは帰宅した。



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