お兄ちゃんとわたしの決闘(デュエル)にっき


○第十章○


 じゃんけんの結果、青年が先攻になった。

渚「よろしくお願いしますね」

青年「よろしく」

渚&青年「デュエル!」

1ターン目

青年「ドローフェイズ、スタンバイ、メインフェイズまで」

青年「モンスターをセットして、カード2枚を伏せてターンエンド」

2ターン目

渚「ターンもらいますね、ドロー、スタンバイ、メインフェイズにはいっちゃいます」

 渚ちゃんが考え始めると、青年は頻繁に手札をシャッフルしながら見ている。

渚「手札からハリケーンを発動します。いいですか?」

ハリケーン 通常魔法
フィールド上に存在する魔法・罠カードを全て持ち主の手札に戻す。

青年「ちょっと待ってよ…オッケー通します」

 伏せカードが手札に戻されフィールドは裏側守備のみとなった。

渚「プロト・サイバー・ドラゴンを攻撃表示で召喚してパワーボンドを発動します」

プロト・サイバー・ドラゴン機械族3
ATK 1100 / DEF 600
このカードはフィールド上に表側表示で存在する限り、カード名を「サイバー・ドラゴン」として扱う。

パワー・ボンド通常魔法
手札またはフィールド上から、融合モンスターカードによって決められたモンスターを墓地に送り、機械族の融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。このカードによって特殊召喚したモンスターは、元々の攻撃力分だけ攻撃力がアップする。発動ターンのエンドフェイズ時、このカードを発動したプレイヤーは特殊召喚したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを受ける。(この特殊召喚は融合召喚扱いとする)

 手札のサイバー・ドラゴン2枚と場のプロト・サイバー・ドラゴンが融合してサイバー・エンド・ドラゴンが特殊召喚された。

サイバー・エンド・ドラゴン機械族10
ATK 4000 / DEF 2800
「サイバー・ドラゴン」+「サイバー・ドラゴン」+「サイバー・ドラゴン」
このモンスターの融合召喚は、上記のカードでしか行えない。このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が越えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

渚「パワーボンドで攻撃力8000になったサイバー・エンド・ドラゴンで裏側守備モンスターを攻撃ですッ!エターナル・エヴォリューション・バーストッ」

 ○サイバー・エンド・ドラゴン 攻撃力8000

〈サイバー・エンド・ドラゴン〉ATK 8000 VS 〈ライトロード・ハンター ライコウ〉DEF 100
撃破!

 青年に7900の貫通ダメージ。

青年 LP 4000 → 0

デュエル終了!!
勝者――渚!!

渚「ありがとうございました」

 負けた青年はチートされたと喚いていたが、対戦前にデッキを交換してシャッフルしてたよな。

 ご立腹らしくそのまま店から出ていった。

祐介「渚ちゃん今回は余裕勝ちだったね〜」

渚「すっごく手札がよかっただけですよー」

 そんな会話をしていると俺の番になった。

 少し待ってみると対戦相手は小学生くらいの男の子だった。

 その子のデッキはスリーブを着けていないみたいで審判から注意があった。

審判「キミ。大会ルールだとスリーブなしはルール違反だよ」

少年「えっ!そうなの?」

審判「海外版のカードが交ざってたら引く前にわかっちゃうでしょ?だからキミの不戦負ね」

祐介「俺はスリーブなしでも構わないのでプレイさせてあげて下さい」

審判「ふむ…対戦相手の俺が許してるなら仕方ないね」

少年「兄ちゃんありがとう」

祐介「別にいいって、俺は勝つためだけにプレイしてるわけじゃないからね」

 俺の一回戦が始まった。

 交換シャッフル(もちろんスリーブがないからカードを傷つけないように気を使ったぜ)した後、じゃんけんをしたら俺の先攻だった。

 あっちなみに渚ちゃんは近くで観戦してる。

祐介&少年「デュエル!」

1ターン目

祐介「俺のターン、ドロー!」

 まずは様子をみておくか。

祐介「モンスターをセットしてターンエンド」

2ターン目

少年「僕のターンドロー!魔法カード!名推理!さあレベルを宣言してね」

名推理 通常魔法
相手プレイヤーはモンスターのレベルを宣言する。通常召喚が可能なモンスターが出てくるまで自分のデッキからカードをめくる。出たモンスターが宣言されたレベルと同じ場合、めくったカードを全て墓地へ送る。違う場合、出たモンスターを特殊召喚し、残りのカードを墓地へ送る。

 俺はテキストを読みながら宣言するレベルを考えた。

 普通のデッキならレベル4、3辺りのモンスターが多めのはず。だから…ここは4かな。

祐介「レベル4を宣言するよ」

少年「じゃあ上からめくるね、1枚目は…魔法カードだから墓地へ、2枚目は…レベル7の風魔神ヒューガ!ハズレだから特殊召喚するよ」

風魔神−ヒューガ魔法使い族7
ATK 2400 / DEF 2200
相手ターンの戦闘ダメージ計算時のみ発動する事ができる。このカードを攻撃するモンスターの攻撃力を0にする。この効果はこのカードが表側表示でフィールド上に存在する限り1度しか使えない。

祐介「レベル7だって!」

 攻撃力が2400の上級モンスターを特殊召喚させてしまうとは誤算だった。

少年「次に魔法カード発動!おろかな埋葬を発動!デッキからD-HERO ダッシュガイを墓地へ!」

おろかな埋葬通常魔法
自分のデッキからモンスター1体を選択して墓地へ送る。その後デッキをシャッフルする。

少年「僕はモンスターを裏側でセットしてバトル!」

 風魔神−ヒューガの攻撃で俺の場のデコイチが破壊される。

祐介「バトルでは負けるがデコイチの効果で1枚ドロー!」

魔装機関車 デコイチ機械族4
ATK 1400 / DEF 1000
リバース:カードを1枚ドローする。自分フィールド上に「魔貨物車両 ボコイチ」が表側表示で存在する場合、さらにその枚数分カードをドローする。

 しかし厳しい展開だ。早く除去できるカードを引かないと…。

少年「僕はメインフェイズ2に悪夢の鉄檻を発動するよ」

悪夢の鉄檻通常魔法
全てのモンスターは(相手ターンで数えて)2ターンの間攻撃できない。2ターン後このカードを破壊する。

 この少年なかなかできる!

少年「ターン終了だよ」

3ターン目

祐介「ドロー! モンスターをセットしターン終了」

4ターン目

少年「僕のターン!ドロー!ダッシュガイの効果を発動するよ!雷魔神−サンガを見せて特殊召喚!」

D-HERO ダッシュガイ戦士族6
ATK 2100 / DEF 1000
自分フィールド上のモンスター1体を生贄に捧げる事で、このターンのエンドフェイズ時までこのカードの攻撃力は1000ポイントアップする。この効果は1ターンに1度しか使用できない。このカードは攻撃した場合、バトルフェイズ終了時に守備表示になる。このカードが墓地に存在する場合、1度だけドローフェイズ時にドローしたモンスターカードをお互いに確認し特殊召喚する事ができる。

雷魔神−サンガ雷族7
ATK 2600 / DEF 2200
相手ターンの戦闘ダメージ計算時のみ発動する事ができる。このカードを攻撃するモンスターの攻撃力を0にする。この効果はこのカードが表側表示でフィールド上に存在する限り1度しか使えない。

 さっき墓地へ送った理由はこれだったのか。

少年「さらに、セットしたカードを反転召喚、リバースモンスターだから効果発動!」

大王目玉悪魔族4
ATK 1200 / DEF 1000
リバース:自分のデッキのカードを上から5枚見て、そのカードを好きな順番に入れ替える事ができる。

 少年が反転召喚したモンスターは大王目玉だった。

 今のタイミングで山札を操作したところで意味があるのだろうか。そんな俺を尻目に渚ちゃんは笑顔でこの戦いを見守っている。

 少年が何をしようとしてるのかわかるのだろうか…。

少年「よし、準備は整ったぞ。大王目玉をリリースしてモンスターゲートを発動!」

モンスターゲート通常魔法
自分フィールド上のモンスター1体を生け贄に捧げる。通常召喚可能なモンスターが出るまで自分のデッキをめくり、そのモンスターを特殊召喚する。他のめくったカードは全て墓地に送る。

 1枚目−おろかな埋葬

 2枚目−悪夢の鉄檻

 3枚目−水魔神−スーガ

 3枚めくったあとで、水魔神スーガを特殊召喚した。

 なるほど、大王目玉で先にいらないカードを置いて圧縮をしているのだろう。

水魔神−スーガ水族7
ATK 2500 / DEF 2400
相手ターンの戦闘ダメージ計算時のみ発動する事ができる。このカードを攻撃するモンスターの攻撃力を0にする。この効果はこのカードが表側表示でフィールド上に存在する限り1度しか使えない。

少年「3枚の魔神がそろったからこの魔法カードを発動!」

守護者復活劇通常魔法
「雷魔神−サンガ」「風魔神−ヒューガ」「水魔神−スーガ」が一枚ずつ存在しなければ発動できない。自分フィールドの「魔神」と名のつく枚数分カードをドローし、自分のデッキから「ゲート・ガーディアン」を互いに確認して手札に加える。※オリカ

少年「僕は3枚ドローした後、ゲート・ガーディアンを手札に加えるよ」

 ゲート・ガーディアンのカードを確認した俺は驚いた。

ゲート・ガーディアン戦士族11
ATK 3750 / DEF 3400
「雷魔神−サンガ」「風魔神−ヒューガ」「水魔神−スーガ」を生け贄に捧げなければ召喚できない。

 LV7を3枚リリースしてこの性能は割にあわないって。この難易度なら出したら勝ちという効果を付けても問題ないだろ。

少年「さらにもう1枚守護者復活劇を発動!3枚ドロー!ゲート・ガーディアンを手札に加えるよ」」

祐介「2枚も持ってたのか!」

少年「違うよ。さっき大王目玉で並べかえておいたんだよ」

 つまり

 1枚目…おろかな埋葬

 2枚目…悪夢の鉄檻

 3枚目…水魔神−スーガ

 4枚目…守護者復活劇

 5枚目…???

 という並べ方をしてたわけだ。よくそこまで考えてたよな。

少年「3枚の魔神をリリースして−−ゲート・ガーディアンを特殊召喚!」

渚「うわ〜!凄い!ちゃんと出せたトコは初めて見ました!」

 対戦の一部始終をみていた渚ちゃんは感嘆の声を上げた。

少年「1枚伏せてターン終了だよ」

 危ないトコだった。悪夢の鉄檻が無ければ攻撃を受けていたかもしれない。

5ターン目

祐介「俺のターンドロー!」

 これは…いける気がする。

祐介「デーモン・ソルジャーを攻撃表示、さらにリバースカードをセットしてターン終了だ」

デーモン・ソルジャー悪魔族4
ATK 1900 / DEF 1500
デーモンの中でも精鋭だけを集めた部隊に所属する戦闘のエキスパート。与えられた任務を確実にこなす事で有名。

 エンドフェイズに悪夢の鉄檻は破壊された。

6ターン目

少年「僕のターンドロー!」

少年「ゲート・ガーディアンでデーモン・ソルジャーに攻撃!」

 やはり攻撃してきたか、俺はすかさず罠を発動する。

祐介「攻撃してきた時にジャスティブレイクを発動するぜ」

ジャスティブレイク通常罠
自分フィールド上に表側表示で存在する通常モンスターが攻撃宣言を受けた時に発動する事ができる。表側攻撃表示で存在する通常モンスター以外のフィールド上に存在するモンスターを全て破壊する。

 効果なしモンスターをあえて攻撃表示で出した理由はこいつを使う為だったわけだ。

 俺の場にセットされていたキラー・トマトとゲート・ガーディアンが破壊された。

 意外とあっさりだったなぁ。

少年「メイン2にリバースカード1枚セット。さらに死者蘇生!ゲート・ガーディアンを復活してターンエンド!」

死者蘇生通常魔法
自分または相手の墓地に存在するモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。

 また出てきたよ

7ターン目

祐介「ドロー!」

 (邪帝ガイウスか…デーモン・ソルジャーをリリースしてゲート・ガーディアンを除外する手はあるが以前渚ちゃんと戦った時の事を考えて伏せカードを置いた方がいいかな)

祐介「リバースカードをセットした後、デーモン・ソルジャーをリリースして邪帝ガイウスをアドバンス召喚――」

邪帝ガイウス悪魔族6
ATK 2400 / DEF 1000
このカードの生け贄召喚に成功した時、フィールド上に存在するカード1枚を除外する。除外したカードが闇属性モンスターだった場合、相手ライフに1000ポイントダメージを与える。

少年「アドバンス召喚にチェーンして亜空間物質転送装置を使うよ」

亜空間物質転送装置通常罠
自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、発動ターンのエンドフェイズ時までゲームから除外する。

祐介「ガイウスの効果でセットしておいたおろかな埋葬を除外」

 これで場はがら空きになったわけだ

祐介「墓地に闇属性モンスターはデコイチ、キラートマト、デーモンソルジャーの3枚――ダーク・アームド・ドラゴンを特殊召喚!」

ダーク・アームド・ドラゴンドラゴン族7
ATK 2800 / DEF 1000
このカードは通常召喚できない。自分の墓地に存在する闇属性モンスターが3体の場合のみ特殊召喚する事ができる。自分のメインフェイズ時に自分の墓地に存在する闇属性モンスター1体をゲームから除外する事で、フィールド上に存在するカード1枚を選択して破壊する。

 攻撃力2000オーバーのモンスター2枚のダイレクトによって決着は着いた。

 相手の少年は負けたが満足していたようだ。

 あの難易度なら出すだけでも凄いからね。



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